第4回 井桁弘恵×芥川龍之介「秋」

【主催者 後記】

 10月17日。急に気温が下がってきた。風が涼しい。日差しはあっても、半袖で歩くのはちょっと寒い。乾いた空気。冬に向かう季節の中間。白でもなく黒でもなく。それが秋。今回は、芥川龍之介「秋」を井桁弘恵さんにお読み頂きました。

 こちらは読み終わった後の、開放的な様子。数か月、この仕事がプレッシャーだったそうで。「終わったー!」と明るい表情です。

 今回の作品は芥川龍之介の「秋」。姉妹と従兄の三角関係の恋の小説。これまでに何回も読み返していますが、毎回、抱く感情が変わります。なるほど名作、解釈が幾通りもある小説ですし、明示しすぎず、微妙に揺れ動く心理。地の文も多く、感情の起伏もわかりやすいかたちで表面化されない。朗読には、かなり難しい小説だと思います。

 でも、井桁弘恵さんなら。 凛として、綺麗な澄んだ声。ご自身も姉妹。井桁さんの「秋」を聞いてみたい!とても楽しみにしておりました。

 出演が決まって、第1回の鳥居みゆきさんの会を観に行きたいとのことで、井桁さんは客席でご覧になりました。真摯に取り組んで頂けるのがありがたいです!

 さて本番。この難しい作品を、やはり井桁さんにお願いをして良かったと思いました。伝えるにはテクニックが勿論必要ですが、それと同じくらい、読む人の心が大事だと改めて感じました。

 とても真っ直ぐな表現でした。「狙って」「作り込んで」出来るものではなく、井桁さんのパーソナリティーとお人柄あってこその優しい時間でした。アフタートークで、実のお姉さんと仲良し姉妹との話がありましたが、朗読の姉妹の会話も、言うときは言う、でも髄には達しない攻撃に留めていて、良好な関係の姉妹が舞台に存在していました。

 また前回のマツモトクラブさんと打って変わって、舞台上では 最小限の動き。 だからこそ言葉が届く。だからこそ、ここぞという動きが印象に残る。

  最後の台詞。「秋」。さっと振り返り、寂し気な、切ない、独り言のような、でも温かみのあるような、言い方。秀逸でしたね。

 読み終えた後の、ほっとした解放感あふれるトークも盛り上がりました。井桁さん、ありがとうございました。また10年後に!宜しくお願いします!

【番組】

一.紺屋高尾

一.秋

第4回 井桁弘恵×芥川龍之介「秋」

ゲスト:井桁弘恵

開催日: 2026年10月17日

会場:伝承ホール

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